アラサーの私が、なぜか御曹司で超絶イケメンの年下男子から、溺愛されました
御曹司
金曜日。

吉田君と並んで座り、パソコンを使って彼にシステムについてをレクチャ中。

「葉子さんって、ITのスキルがすごく高いですよね?」
「そう? 一応はIT推進部の一員だから、普通じゃない?」
「いえいえ、データベースを自在に操れるなんて、普通じゃないですよ。文学部専攻なのに……」

ん?

「私が文学部を専攻したって、あなたに言ったっけ?」
「あ、えーと、勘です」

「勘なの? でも、当たりよ。IT推進に配属が決まってから、業務に必要かなって思って猛勉強したの。OracleとかAccessとかを。そしたら意外にこれが面白くて、私って実は理系の人だったみたい」

「なるほど。葉子さんは頑張り屋さんですもんね」

褒めてもらって嬉しい気はするけど、なんかちょっと違和感がある。
吉田君は裕子ちゃんの事も”頑張り屋さん”って言い、それに違和感はなかったけど、今のはちょっと引っ掛かる。

気にし過ぎかな。

「あ、そうだ。明後日の日曜って予定ありますか?
クラシックコンサートのチケットがあるんですが、良ければ一緒に、行きませんか?」

え? それってもしかして、デートのお誘い?
なわけないか。でも、吉田君とならお出掛けしたいなあ。予定なんてあるわけないし……って、だめだ。お見合いの日だ。

かと言ってお見合いの事は吉田君に言いたくないし……あ、そうか。

「クラシックって、私は苦手というか普段から聴かないの。だから、ごめんなさい」

それは本当の事だし、この話はこれでお終い、と思ったのだけど……

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