アラサーの私が、なぜか御曹司で超絶イケメンの年下男子から、溺愛されました
タワーマンション
タクシーに乗り込み、吉田君が運転手さんに告げた行先は、東京湾付近のタワマンだった。
たぶんそこは、吉田君の家と思われ、

「私は?」
と聞いたら、

「帰してあげない」
と即答されてしまった。

やっぱりそうなんだわ。吉田君は、私とエッチしたいんだと思う。
でも、いいわ。吉田君となら。今日は記念日になるのね。ロストバージンの……

「あれ? 抵抗しないんですか?」
「しないわ」
「なぜ?」
「助けてくれたお礼」

というのは嘘。吉田君が好きだから。

「お礼って?」
「させてあげる」
「えっ?」

「今の”えっ”は何?」
「聞き違いかと」
「違ってないわよ」

その後はおしゃべりをやめ、程なくしてタクシーは高くそびえるタワマンのエントランス前に停車した。

その間、私はずっとドキドキしながら、難しい作業に取り組んでいた。
その作業とは、ずばりこれからするであろう、吉田君とのあれやこれやの予習。

と言っても実体験は皆無なので、ドラマや映画のシーンの記憶をかき集め、取捨選択し、トリミングして……みたいな作業。
ネットで調べれば楽だと思うけど、まさか吉田君の側では出来ないし。

仕事より難しいかも、なんて思ったりして。
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