アラサーの私が、なぜか御曹司で超絶イケメンの年下男子から、溺愛されました
初体験
「ちょっと待って。部屋の明かり、消してくれない? 恥ずかしいから」

部屋はとても明るく、たぶんマックスだと思う。なので、見え過ぎちゃって困ると思った。

「わかった。でも、俺は真っ暗は苦手だから……」

それ、私も同じ。真っ暗って怖くて、耐えられない。だから、寝る時は最小限、常夜灯は点けるようにしてる。
男女にとって、そういうのって意外に大事なんじゃないかと思うの。夫婦であれば、尚更に。

吉田君はリモコンに手を伸ばし、ピッとボタンを押すと、明かりが一段階だけ暗くなった。
でも、まだ明る過ぎる。

「もっと」
「わかった」ピッ

「もう一丁」
「えー?」ピッ

「もう一声」
「だーめ。これ以上はまけらんない」

「どうして?」
「葉子の事、ちゃんと見ながらしたいから」
「もう……わかった」

まだ明るくて恥ずかしいけど、我慢する事にした。

「葉子、好きだよ」
「私も吉田君が、好き」
「”吉田君”じゃないだろ?」

「確かにそうよね。じゃあ、亮君」
「それもちょっとなあ。もう子どもじゃないんで、”亮”って呼んでほしいな」

「わかった。亮、愛してる」
「俺もだよ」

亮の顔が近付いてきて、目を閉じると、唇と唇が触れ合った。
これが私の記念すべきファーストキス、なのだけど……
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