幸せの道しるべ~理想の時間に逢えるカフェ
3✩.*˚
三月下旬。今日は朝早くから貸切の予約が入っている。カフェの清掃を終えると、柊は外に出た。餌箱には餌がなく、食べた跡だけが残っている。
雪が溶け始め、アスファルトが見えてきた。コートがいるかいないか、迷う時期だ。毎年この時期は落ちているたくさんの小さなゴミがとても気になってしまう。ビニール袋、お菓子を包んでいたもの、そして今、目の前には空き缶が……アスファルトと共に現れるゴミは、いつ雪の下に埋まったのだろう。
カフェの前に落ちている空き缶を拾い、CLOSEの札がそのままなのを確認すると中に戻った。
少し経つと、カランと音がなりドアが開いた。
「いらっしゃいませ。八時から十時まで貸切ご予約の相楽様ですね」
「は、はい、そうです。娘は今、電話終わったら来ます」
「かしこまりました」
カウンターで剛が確認をすると、ぎこちなく奈津美が答えている。柊はちらっと窓から見える、駐車されたばかりの白い車の運転席に女がいるのをぼんやり確認した。
「当店のシステムはご存知ですね」
「は、はい……」
「では、ごゆっくりと幸せな時間をお過ごしくださいませ」
シマエナガカフェはテーブルが8つある。奈津美はしばらく座る席を迷い、結局中野といつも座っているカフェの奥の席を選んだ。
雪が溶け始め、アスファルトが見えてきた。コートがいるかいないか、迷う時期だ。毎年この時期は落ちているたくさんの小さなゴミがとても気になってしまう。ビニール袋、お菓子を包んでいたもの、そして今、目の前には空き缶が……アスファルトと共に現れるゴミは、いつ雪の下に埋まったのだろう。
カフェの前に落ちている空き缶を拾い、CLOSEの札がそのままなのを確認すると中に戻った。
少し経つと、カランと音がなりドアが開いた。
「いらっしゃいませ。八時から十時まで貸切ご予約の相楽様ですね」
「は、はい、そうです。娘は今、電話終わったら来ます」
「かしこまりました」
カウンターで剛が確認をすると、ぎこちなく奈津美が答えている。柊はちらっと窓から見える、駐車されたばかりの白い車の運転席に女がいるのをぼんやり確認した。
「当店のシステムはご存知ですね」
「は、はい……」
「では、ごゆっくりと幸せな時間をお過ごしくださいませ」
シマエナガカフェはテーブルが8つある。奈津美はしばらく座る席を迷い、結局中野といつも座っているカフェの奥の席を選んだ。