幸せの道しるべ~理想の時間に逢えるカフェ
4✩.*˚
五月の初め。この地域では、満開の桜が辺り一面に咲きほこる時期。
「ここの席から桜が見れるんだね、すごく綺麗」
奈津美と一緒に来た日から、貸切予約なしに気まぐれでカフェに来るようになった優里は、今日ひとりで来ていた。
「柊くん、一緒にここに座ってお花見しない?」
「えっ、今?」
「うん、今」
「でも、今バイト中だしな……」
柊はちらりと剛を見て、様子を伺った。
「優里ちゃん、客は他に誰もいないし、今から貸切予約にしますか?」
「はい、お願いします!」
剛が問うと、優里はそう答えた。
急に貸切予約にするなんていいのか?
「柊、優里ちゃんのところに座ってもいいよ。不安そうな顔してるけど、大丈夫だよ。バイト代はこの時間もきちんとあげるから」
不安な顔になったのは、バイト代のことが原因ではないけど……。
貸切ってことは、優里の〝逢いたい時間に会える〟のか? だけど、願いが叶うために貸切予約をする時には、一か月前に予約しないとだし。
とりあえず剛にお辞儀をすると、優里の向かいに座った。桜を眺めて、頬杖をつきながら優里は言った。
「私ね、小学校の時、身体弱くて遠足行けなかったんだ……」
「そうだったよね、遠足以外にも学校を休む日が多かったのも、覚えている」
「だから今、同級生……というか、柊くんと、あの頃に気持ちを戻して、遠足をしてみたい。遠足じゃなくて、花見になるのかな?」
「いいけど……外じゃなくて、ここでいいの?」
「うん!」
ここで、お花見……花を見ながら優里ちゃんはご飯を食べることになるから、室内でも遠足にはならないとしても、花見ってことになるのか? いつもと同じ場所で食べるご飯も、気持ちや相手、環境次第で味が変わるような気がするし、遠足だと思えば遠足にもなるのかも。
――久しぶりだな、遠足。
「なんか、楽しくなってきたかも」
「私も!」
「ここの席から桜が見れるんだね、すごく綺麗」
奈津美と一緒に来た日から、貸切予約なしに気まぐれでカフェに来るようになった優里は、今日ひとりで来ていた。
「柊くん、一緒にここに座ってお花見しない?」
「えっ、今?」
「うん、今」
「でも、今バイト中だしな……」
柊はちらりと剛を見て、様子を伺った。
「優里ちゃん、客は他に誰もいないし、今から貸切予約にしますか?」
「はい、お願いします!」
剛が問うと、優里はそう答えた。
急に貸切予約にするなんていいのか?
「柊、優里ちゃんのところに座ってもいいよ。不安そうな顔してるけど、大丈夫だよ。バイト代はこの時間もきちんとあげるから」
不安な顔になったのは、バイト代のことが原因ではないけど……。
貸切ってことは、優里の〝逢いたい時間に会える〟のか? だけど、願いが叶うために貸切予約をする時には、一か月前に予約しないとだし。
とりあえず剛にお辞儀をすると、優里の向かいに座った。桜を眺めて、頬杖をつきながら優里は言った。
「私ね、小学校の時、身体弱くて遠足行けなかったんだ……」
「そうだったよね、遠足以外にも学校を休む日が多かったのも、覚えている」
「だから今、同級生……というか、柊くんと、あの頃に気持ちを戻して、遠足をしてみたい。遠足じゃなくて、花見になるのかな?」
「いいけど……外じゃなくて、ここでいいの?」
「うん!」
ここで、お花見……花を見ながら優里ちゃんはご飯を食べることになるから、室内でも遠足にはならないとしても、花見ってことになるのか? いつもと同じ場所で食べるご飯も、気持ちや相手、環境次第で味が変わるような気がするし、遠足だと思えば遠足にもなるのかも。
――久しぶりだな、遠足。
「なんか、楽しくなってきたかも」
「私も!」