幸せの道しるべ~理想の時間に逢えるカフェ

2✩.*˚

 一月中旬。朝早くから来た常連客が帰った後、白井柊は外に出た。何もはおらず、白くて薄い生地のワイシャツ姿のままだったから、店の中との寒暖差にぶるっと震える。シマエナガが、カフェ前にある餌箱で餌をついばんでいる。ドアに掛けてあるシマエナガの形をした白い札の端をつかむと、茶色で書かれた「OPEN」を裏返して「CLOSE」にした。

カフェと周辺を眺める。さらさらと降る雪、冷え切った時にする独特のスーッとする香り。真っ白な風景をはじめ、五感で受け取れるものが全て、心を浄化してくれるような気がしていた。それは今、カフェにいるからなのか。

――寒いけど、温かいな。

 手に白い息をはぁっと吹きかけると、店の中に戻った。

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