だって、お姉様お望みの悪女ですもの
04
イザベルがウィリアムの助手になってから一ヶ月が過ぎた。単位を取り終えているイザベルは卒業までの間、本格的に錬金術の勉強に取り掛かった。
普段は周りの生徒へ話しかけるなオーラを出しているウィリアムも、イザベルには気さくに(主に錬金術にはなるが)話してくれる。
イザベルはウィリアムから借りた参考書やノートを使って錬金術の勉強を進めた。日中は参考書とノートで勉強し、昼休みに野草の採取、放課後はウィリアムの研究の手伝いと実践を行なっている。
基本的にウィリアムから頼まれるのは、野草の採取と光の精霊を呼び出すことなのでそれほど苦ではない。
野草はリストと付箋つきの図鑑を渡されるため素人でも困らない。困らないが、たまに種類が多くて昼休みで終わらない時がある。
(残り三種類、やっと集められたわ)
今日のイザベルは放課後も北の森に入って野草を摘んでいた。
採集した野草はいつも森を管理している用務員に預かってもらっている。昼間に預けていた野草をもらったイザベルは、急いで生物準備室へ向かった。
近道をするために普段使わない廊下を通る。するとそこで、ある単語が教室から聞こえてきた。
「アデル、泣かないでくれ」
(アデル?)