双子のパパは冷酷な検事~偽装の愛が真実に変わる時~
かりそめの幸福
「ねえ、これは? めっちゃかわいいよ!」
「どれどれ?」
神馬さんとのデートを翌週に控えた土曜日。私は梓をショッピングモールに誘って、デートの服選びに付き合ってもらっていた。
梓が手に取ったのは、カジュアルだが女性らしさもあるフレアワンピース。落ち着いたベージュの色が秋らしく、丈がひざ下までと言うのもちょうどいい。
こういう時、センスのいい友人がいてくれて助かる。
デート服については職場の人たちにも相談してみたのだけれど、紅林さんも白浜さんもまともに取り合ってくれず、笑い飛ばされたのだ。
『あたしたちに聞いてどうすんの! ジンちゃんに聞きなさい!』
『そうよ~。もう、この年になるとデザインより防寒と紫外線対策と、どう体型を隠してくれるかが気になって、お洒落どころじゃないんだから』
『ズボンのウエストは総ゴム一択・パンツはおへそまで覆ってくれると安心』
『わかるわぁ~。包み込んでほしいのよね、イケメンより温かいパンツに』
私もふたりと一緒になって笑ってはみたけれど、どうしても参考にはならなかったので、同年代の梓を頼ったというわけだ。