双子のパパは冷酷な検事~偽装の愛が真実に変わる時~
覚悟を決めて

 月曜日にいつも通り食堂に出勤すると、私の姿を見つけた紅林さんと白浜さんが、目をキラキラさせて駆け寄ってきた。

「琴里ちゃん、どうだったんだい? 金曜日」

 一瞬キョトンとしたものの、コンカフェでの面接についてふたりに相談していたことを思い出す。

 面接に反対していた彼女たちが神馬さんに頼んでくれたおかげで、私は危ない目に遭わずに済んだのだ。

「ご心配おかけしてすみません。あのバイトはやっぱりやめました。私には難しそうだったので……」
「そっちじゃないわよ! ジンちゃんの方!」

 なぜか紅林さんに怒られた。てっきり面接の話だと思ったけど、違うの?

「ジンちゃん……?」
「もう、とぼけちゃって~。神馬検事よ。危ない繁華街をふたりで抜け出した後はどこへ? 告白はされたの?」

 白浜さんが、すくい上げるような目で私を見る。あの神馬さんが婚約者の件を彼女たちに話すはずがないのに、どこをどう勘違いしたのだろう。

「ちょっと待ってください。告白?」
「そうよ。いつも食堂で琴里ちゃんに冷たくするのも、小学生がよくやるかわいいあまのじゃくだったのよ。だって私、前に聞いたもの。ジンちゃんが真剣な顔で琴里ちゃんのこと『重要人物』って呟いてたの。それってきっと『運命の人』って意味よ」

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