双子のパパは冷酷な検事~偽装の愛が真実に変わる時~
募る独占欲――side鏡太郎
『いや~、なんだかあんたたち本当に仲良くなっちゃったんだねぇ』
『こりゃ、とっくに初夜も済ませたとみた』
初めて琴里を自宅マンションに迎えた夜、彼女がシャワーを浴びに行くのを見送った後のこと。俺の頭の中で、食堂の紅白婦人がわめいていた。
リビングのテレビに『いぶし銀・貫太郎』を映しつつも、まったく内容が入ってこない。
あの時はくだらないからかいだと思って取り合わなかったが、いざ彼女が自分の生活空間に入ってくると、俺は自分が想像していた以上に彼女を女性として意識していたことを思い知らされた。
食堂で彼女の存在を知った頃は、むしろ苦手な相手だったのに……事件の調査のために接触しその内面を知っていくにつれ、単なる調査対象者以上の興味が湧いていた。
家族のためならどんな努力も我慢もしてきた忍耐強い性格。その裏では年頃の女性としての葛藤もあって、しかし弟の弓弦くんの前ではそれを絶対に見せない。
時に『分不相応』と言って遠慮することはあるが、基本的に卑屈になったり自分を卑下することはない。
その明るく朗らかな性格は見ていて気持ちがいいくらいだ。