裏SNS " F " - 友か、秘密か -

- side - Hanayama Hibiki

廊下の端にあるスペースは、
放課後になると誰も寄りつかなくなる。

静かで、落ち着いて話ができるから、
最近はこの場所が僕たちの定位置になっていた。



「 で、Fの解析は進んだ? 」

「 ああ……昨日、不自然なログを見つけた 」



花山 響が答えると、
隣で指を動かしていた瀬川 琉生が顔を上げた。



「 不自然?」

「 うん。多分Fの設計者、
投稿の下書きや " 取り消し前の履歴 " を
サーバー側で見えるようにしてる。
俺らにじゃなくて、運営だけに 」

「 ……つまり、
投稿しようとしてやめたことも、
実は筒抜けってことだな 」



琉生がふっと笑う。



「 ……おそらく。それで、
バックエンドの通信追ってみたんだ。

サーバーに飛ばす前に、
何段階か暗号処理されてるんだけど……
その中に、別ルートの送信ログが混じってる 」

「 ほーう?」

「 表のサーバーとは別に、
ログだけを送る監視用チャンネルがあって、
普通のユーザーには見えない構造になってる 」

「 ……やっぱりさすがだな 」



そう言うと、
琉生は再びスマホに視線を戻した。

琉生はいつもどこか軽い。
でも、無邪気に見えて、相当頭が切れる。
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