裏SNS " F " - 友か、秘密か -
- side - Sakakibara Moko
7月。放課後の教室には、西日が差し込み、
長く影を落としていた。
空調の効いた静かな空間に、
外の喧騒だけが生々しく漂っている。
榊原 萌子を中心とした四人は
月末のテストに向けて、
揃って課題やノートを広げていた。
「 ねえ、次の現代文、
なんか範囲広くなーい?」
机いっぱいのプリントの上に突っ伏しながら、
藤井 舞が気怠い声を上げた。
舞は少し伸びた前髪を鬱陶しそうにかきあげて、
斜め前に座る宮下 澪をちらりと見る。
「……現代文は、前回と同じくらいじゃない?」
澪はノートから顔を上げ、
少し戸惑ったように答えた。
涼しげな声はどこか温度が低く、
感情の起伏がほとんどない。
どこまでも客観的で、
無理に会話に乗ろうともしない。
最近の萌子は、
そんな澪に退屈を感じ始めていた。
( ……もっと、何かあると思ったのに )
澪と行動を共にするようになったのは、
" あの投稿 " が書き込まれてからだ。
【 投稿主 ◇ 匿名 / TARGET ◇ 宮下 澪
宮下 澪は9年前に起きた殺人事件と繋がりがある
Point ◇ 1030pt 】
衝撃的な文言に最初に反応したのは舞だったが、
萌子もすぐに興味を持った。
澪の静けさには意味があると、
以前から感じていた。
彼女の背後には、何かがある。
秘密を暴けば、Fの中心に立てる。
そう思って、澪に近づいた。
舞がやんわりと溶け込ませ、
萌子が距離を詰める。
そんな、暗黙の役割分担。
澪の反応一つ一つを、
萌子は慎重に観察した。けれど――
( なーんにも出てこない )
虚偽投稿の証明を提案したときも、
澪は静かに濁しただけだった。
長く影を落としていた。
空調の効いた静かな空間に、
外の喧騒だけが生々しく漂っている。
榊原 萌子を中心とした四人は
月末のテストに向けて、
揃って課題やノートを広げていた。
「 ねえ、次の現代文、
なんか範囲広くなーい?」
机いっぱいのプリントの上に突っ伏しながら、
藤井 舞が気怠い声を上げた。
舞は少し伸びた前髪を鬱陶しそうにかきあげて、
斜め前に座る宮下 澪をちらりと見る。
「……現代文は、前回と同じくらいじゃない?」
澪はノートから顔を上げ、
少し戸惑ったように答えた。
涼しげな声はどこか温度が低く、
感情の起伏がほとんどない。
どこまでも客観的で、
無理に会話に乗ろうともしない。
最近の萌子は、
そんな澪に退屈を感じ始めていた。
( ……もっと、何かあると思ったのに )
澪と行動を共にするようになったのは、
" あの投稿 " が書き込まれてからだ。
【 投稿主 ◇ 匿名 / TARGET ◇ 宮下 澪
宮下 澪は9年前に起きた殺人事件と繋がりがある
Point ◇ 1030pt 】
衝撃的な文言に最初に反応したのは舞だったが、
萌子もすぐに興味を持った。
澪の静けさには意味があると、
以前から感じていた。
彼女の背後には、何かがある。
秘密を暴けば、Fの中心に立てる。
そう思って、澪に近づいた。
舞がやんわりと溶け込ませ、
萌子が距離を詰める。
そんな、暗黙の役割分担。
澪の反応一つ一つを、
萌子は慎重に観察した。けれど――
( なーんにも出てこない )
虚偽投稿の証明を提案したときも、
澪は静かに濁しただけだった。