DEEP BLUE
夜の海を漂う人形姫
夜の海を漂う人形姫
──────カツン……。
夜の闇に響くヒールの音。
あたしは夜の闇へと一歩踏み出し、今日も高いヒールを鳴らす。
月明かりが、行き先を照らすくらいがちょうどいい。
太陽は眩しすぎて、もう好きじゃない。
長い髪を揺らすと同時に、ピアスが月に反射されキラキラと光る。
あたしはハァッと溜め息一つ吐き、今日も嘘と欲望にまみれた世界に溶け込んで行った。
あたしは今日もその世界へと、消えて行く。