シュガーラテ─火消しの恋は、カフェの香り
試される実力
署長室を出たあとも、
三人の表情はそれぞれに緊張を帯びていた。
デモンストレーター。
それはただ競技に参加するだけではない。
判断・処置・搬送――
一連の流れすべてが「模範」であることを求められる。
その動き一つひとつが、参加者の指針となるのだ。
「……俺たちが“基準”になるってことですよね」
廊下を歩きながら、池本がぼそりとつぶやいた。
「ただ技術があるだけじゃダメだ」
檜山が答える。「動きの正確さも、所作の美しさも求められる」
「それに……」
朝比奈が続ける。「判断の正確性。処置の優先順位。
状況ごとに何をどう選び、どう連携するか――
その“意図”まで見られると思っていい」
三人の視線が自然と前を向いた。
彼らの後ろから、副署長・天野が静かに言葉をかける。
「今回の大会では、“複数傷病者の同時対応”がテーマになるはずだ。
だからこそ、トリアージも含めた全体判断が求められる」
「……どんな場面でも、“命”を見極める力が必要になる」
天野の言葉に、朝比奈が小さく頷いた。
「俺たちが出す答えが、その現場の“優先”になる。
なら――中途半端な覚悟じゃ、務まらないですね」
「当然だ」
副署長の声は静かに響いた。
「お前たちは、久瀬消防の“顔”になる。
現場の技術も、心構えも、全部さらけ出すつもりで挑め」
池本と檜山が同時にうなずき、朝比奈も敬礼を返した。
「やりましょう、朝比奈さん。檜山。全力で」
池本が手を差し出す。
「……背中は任せます」
檜山も重ねる。
「俺たちはチームだ。……誰も置いていかない」
朝比奈もその手に加わった。
三人の手が、静かに重なり合う。
訓練室の扉が開く音とともに――
彼らの“新たな戦い”が、始まろうとしていた。
三人の表情はそれぞれに緊張を帯びていた。
デモンストレーター。
それはただ競技に参加するだけではない。
判断・処置・搬送――
一連の流れすべてが「模範」であることを求められる。
その動き一つひとつが、参加者の指針となるのだ。
「……俺たちが“基準”になるってことですよね」
廊下を歩きながら、池本がぼそりとつぶやいた。
「ただ技術があるだけじゃダメだ」
檜山が答える。「動きの正確さも、所作の美しさも求められる」
「それに……」
朝比奈が続ける。「判断の正確性。処置の優先順位。
状況ごとに何をどう選び、どう連携するか――
その“意図”まで見られると思っていい」
三人の視線が自然と前を向いた。
彼らの後ろから、副署長・天野が静かに言葉をかける。
「今回の大会では、“複数傷病者の同時対応”がテーマになるはずだ。
だからこそ、トリアージも含めた全体判断が求められる」
「……どんな場面でも、“命”を見極める力が必要になる」
天野の言葉に、朝比奈が小さく頷いた。
「俺たちが出す答えが、その現場の“優先”になる。
なら――中途半端な覚悟じゃ、務まらないですね」
「当然だ」
副署長の声は静かに響いた。
「お前たちは、久瀬消防の“顔”になる。
現場の技術も、心構えも、全部さらけ出すつもりで挑め」
池本と檜山が同時にうなずき、朝比奈も敬礼を返した。
「やりましょう、朝比奈さん。檜山。全力で」
池本が手を差し出す。
「……背中は任せます」
檜山も重ねる。
「俺たちはチームだ。……誰も置いていかない」
朝比奈もその手に加わった。
三人の手が、静かに重なり合う。
訓練室の扉が開く音とともに――
彼らの“新たな戦い”が、始まろうとしていた。