冷徹CEOは不幸なバツイチ女子を偽装婚約者に選びたい
7、仕組まれた陰謀
暑さも日に日に和らぎ、気づけば十月に入っていた。
日中はまだ五分袖など軽装で大丈夫な日もあるけれど、朝晩は羽織ものが必須だ。
「実装から順調にユーザー数も増えているし、好調なスタートだな」
「はい、ありがとうございます!」
「さっき、この一週間の動きをチェックしてたんだ。取材依頼も数件入ってる」
終業時間間際、大詰めとなる作業の確認を行っているとチーム長に声をかけられた。
以前、夏前に私がプレゼンを行ったマッチングサービスの企画が驚くことになんと通り、新サービスとして実装されることになった。
ちょうど、誕生日を終えたお盆休み明けに決定が出て、私にとってはそれも大きな誕生日プレゼントのように思えた。
それから実装までの一か月少しは多忙を極め、目まぐるしく毎日が過ぎ去っていった。
「明日は、イベントでもよろしく頼むよ」
「はい。こちらこそよろしくお願いします!」
明日は、新サービスのデビューイベントが六本木の商業施設で行われる。
イベントには、このサービスのイメージキャラクターになっている俳優たちが登壇するなど、メディアにも取り上げられるものになるという。
自分が企画したものがこんなに大きく展開されるとは思ってもみず、正直驚いている部分も大きい。
明日は、もっとそんな気持ちになるに違いない。