冷徹CEOは不幸なバツイチ女子を偽装婚約者に選びたい

4、落ち着けないランチタイム



 新部署に異動となって一か月 が経とうとしている。

 異動後一か月は教育係の先輩に指導してもらってきたけれど、新しいことも大分覚えられ、少し早いけれどもう独り立ちしていいと言われた。


「唐木田さん、もうお昼行ってね」

「あっ、はい。ありがとうございます!」


 パソコンの画面にくぎ付けになっていた私に、近くの先輩が声をかけてくれる。

 冒頭していて気づかなかったけれど、もうお昼休憩の時間に入っていた。

 周囲は続々とランチに出て行く。

 とりあえず、ここまでにしておこう。

 作っていた資料に保存をかけてファイルを閉じる。

 まだマッチングチームに来て間もないけれど、この一か月でいろいろな展開があった。

 教育係の先輩にどうしてこの部署を希望してきたかと聞かれ、ぼんやりと構想にあったことをなんとなく話してみた。

 こんなマッチングサービスがあったらなどというアイディア。

 それをいつか企画に出せるように頑張りたいと話すと、すごくいいからすぐに企画書を作ってみるといいと勧められた。

 異動して間もないとか関係なく、プレゼンにチャレンジしてみたらいいと背中を押してもらって早速企画書を作り始めたのだ。

 仕事の合間の手の空いた時間や、家に帰っても進めている。

 やりたかったことだったから、家に持ち帰ってやることもぜんぜん苦じゃないし、むしろ毎日充実している。

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