花明かりのタイムカプセル
「ねぇ、春野さん。今晩お花見いこ?」
少し鼻にかかった声が聞こえてきて振り返れば、そこには同じ大学の川本英奈が立っていた。
「あ……川本さん」
私と川本さんは同じ女子校出身なのだが、ある過去から私は彼女とあまり話したくない。と言うよりも、同じ高校だった人とは話したくない。
「もう、英奈でいいよー」
「でも……川本さんも私のこと苗字だし……」
「じゃあ実果ちゃんって呼ぶから、英奈にして?」
「……分かった」
「やった」
なぜ川本さんがあの事件のことを知っているにも関わらず、大学が同じと知っただけでわざわざ私に声をかけてくるのかいまだにわからない。
だって私はデザイン学科で油絵を専攻しているが、川本さんは英文科だ。
それに高校時代も一度も同じクラスではなかったし、私と同じ美術部でもなかった。確か川本さんは運動系のクラブだったと記憶している。
「で、お花見いい? 実果ちゃん」
甘えるように川本さんが私を覗き込む。
今までもさりげなく誘いを交わしていたが、大学に入学したの上に五回目のお花見のお誘いとなると、何て理由をつけて断ろうかと迷ってしまう。
少し鼻にかかった声が聞こえてきて振り返れば、そこには同じ大学の川本英奈が立っていた。
「あ……川本さん」
私と川本さんは同じ女子校出身なのだが、ある過去から私は彼女とあまり話したくない。と言うよりも、同じ高校だった人とは話したくない。
「もう、英奈でいいよー」
「でも……川本さんも私のこと苗字だし……」
「じゃあ実果ちゃんって呼ぶから、英奈にして?」
「……分かった」
「やった」
なぜ川本さんがあの事件のことを知っているにも関わらず、大学が同じと知っただけでわざわざ私に声をかけてくるのかいまだにわからない。
だって私はデザイン学科で油絵を専攻しているが、川本さんは英文科だ。
それに高校時代も一度も同じクラスではなかったし、私と同じ美術部でもなかった。確か川本さんは運動系のクラブだったと記憶している。
「で、お花見いい? 実果ちゃん」
甘えるように川本さんが私を覗き込む。
今までもさりげなく誘いを交わしていたが、大学に入学したの上に五回目のお花見のお誘いとなると、何て理由をつけて断ろうかと迷ってしまう。