転生幼女と宰相パパは最強コンビ
第七章 できることはやるんでしゅ!
思いがけず一泊することになってしまったが、視察はおおむね成功に終わった。
『これだけ様々な種類の薬草を栽培できるとは』と、感心したように言っていたヴォルガは、夜鳴草の栽培はまだ研究中だと判断したようだ。
 実際には、王立魔術研究所で栽培方法は確立していて、あとはどこで育てるのかさえ決めればいい。秘密は守られた。
 ルーンストーンに魔力を与えるタイミングさえ間違わなければ、すくすく育つのだ。
 そんなわけで、視察から一週間後。
 リリカは、イヴェリオに連れられて王宮の執務室にいた。隣の執務室では、アークスが自分の政務を行っているはずだ。

(……次はこれっと)

 リリカに与えられているのは、いつの間にやらばらばらになってしまった王宮の古い記録を読み解くことだ。
 本来ならば、きちんと整理されていなければならないのだが、長い年月の間に、整理されていた記録がばらばらになってしまったらしい。

(これは、ベルザール王国との関係についての記録だな)

 今から百年ほど前の記録だ。それほど古いものでもないのに、ばらばらになってしまうとは。
< 205 / 265 >

この作品をシェア

pagetop