転生幼女と宰相パパは最強コンビ
第八章 あたち、ハッピーエンドがしゅきなんでしゅ!
王宮に戻った時には、アークスがすべての手筈を調えてくれていた。
 子供達には、ひとりひとり育児の経験豊富な侍女がつきっきりで世話をするよう人員が確保されていたし、ばらばらにならないで済むよう、大きな部屋に人数分のベッドを運び込んでくれたそうだ。
 その日の夜は、侍女達の手によって、子供達は全員同じ部屋で眠ることになった。
 そして、翌朝。
リリカは、子供達に対面することになった。
 対面の場所は、子供達が宿泊した大部屋だ。清潔な服に着替えさせられ、ベッドで休んだはずなのに、子供達は互いに寄り添ってこちらを見ているだけ。

(……うん、皆、元気がないな)

 まだ幼いにもかかわらず、無理やり連れ去られ、暗い場所で過ごしてきたのだろう。彼らの顔には、恐怖の表情が浮かんでいた。
 誰かが動く度、小さな物音でも音がする度に、びくりと肩を震わせる。

(私も、こんな状態だったのかな……)

 もっとも、あの頃のリリカはまだ泣くことでしか意思を表示できない赤子だった。前世の記憶もあったし、公爵家で暮らすことになってからはマーサが丁寧に面倒を見てくれた。
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