蜜味センチメンタル
扉が開く朝に
・*†*・゚゚
夜が明けたばかりの部屋には、まだ温もりが残っていた。寝具の皺も、空気の匂いも、昨夜のすべてを語っているようだった。
那色は目を覚ますと、しばらくそのまま天井を見つめていた。隣に眠る人の寝息に耳を傾けながら、自分の鼓動がいつもより静かだということに気づく。
——羅華さん
彼女の名を、心の中で何度も呼ぶ。
口に出すには少し照れくさくて、けれど言葉にするたび、胸の奥が確かに反応する。
繊細で、臆病で、優しい人。
触れた手のひらも、差し出された想いも——全部が、那色にとって初めての感情を引き出してくる。
ふと、視線を動かす。
毛布の奥に、小さく肩を丸めて眠る羅華の横顔があった。
長いまつ毛が頬に影を落とし、薄く開いた唇がかすかに震えている。眠っているだけなのに、その表情にはどこか「守らなければ」と思わせる力があった。
こんな朝を迎えたのは、初めてだ。
誰かの隣で目を覚ますことも、それを幸せだと感じることも。過去にはなかったものが、確かにここにある。
たまらず羅華の頬に触れる。少しだけ身を捩るように動くと、羅華は那色の胸元に顔を埋め腕の中に入ってきた。完全に意識の外にあるその行動は、あまりに可愛すぎた。
「……かわいい、大好き…」
キスを落とすと、期待していた綺麗な目がゆっくりと開かれる。羅華はぼんやりと、未だまどろみの中にいた。まだ夢の余韻が残るその目が、ゆっくりと那色を捉える。
視線が合っただけで、胸があたたかくなる。
一瞬の沈黙のあと、那色の唇に自然と笑みが浮かぶ。
この人がいる朝は、それだけで特別だった。
夜が明けたばかりの部屋には、まだ温もりが残っていた。寝具の皺も、空気の匂いも、昨夜のすべてを語っているようだった。
那色は目を覚ますと、しばらくそのまま天井を見つめていた。隣に眠る人の寝息に耳を傾けながら、自分の鼓動がいつもより静かだということに気づく。
——羅華さん
彼女の名を、心の中で何度も呼ぶ。
口に出すには少し照れくさくて、けれど言葉にするたび、胸の奥が確かに反応する。
繊細で、臆病で、優しい人。
触れた手のひらも、差し出された想いも——全部が、那色にとって初めての感情を引き出してくる。
ふと、視線を動かす。
毛布の奥に、小さく肩を丸めて眠る羅華の横顔があった。
長いまつ毛が頬に影を落とし、薄く開いた唇がかすかに震えている。眠っているだけなのに、その表情にはどこか「守らなければ」と思わせる力があった。
こんな朝を迎えたのは、初めてだ。
誰かの隣で目を覚ますことも、それを幸せだと感じることも。過去にはなかったものが、確かにここにある。
たまらず羅華の頬に触れる。少しだけ身を捩るように動くと、羅華は那色の胸元に顔を埋め腕の中に入ってきた。完全に意識の外にあるその行動は、あまりに可愛すぎた。
「……かわいい、大好き…」
キスを落とすと、期待していた綺麗な目がゆっくりと開かれる。羅華はぼんやりと、未だまどろみの中にいた。まだ夢の余韻が残るその目が、ゆっくりと那色を捉える。
視線が合っただけで、胸があたたかくなる。
一瞬の沈黙のあと、那色の唇に自然と笑みが浮かぶ。
この人がいる朝は、それだけで特別だった。