婚約者を寝取った妹と浮気した婚約者に命懸けの復讐をしようと思います〜その後待っていたのは溺愛でした〜
祭壇へと続く道を、厳かに淑やかに聖女らしく見えるように、毅然とした態度で歩を進める。

一歩、一歩、ゆっくり、ゆっくりと。

まるで花嫁衣装のような純白のAラインのドレスは、お伽話にでてくるお姫様のよう。そう、あくまでドレスは。

「うふふ、お姉様ってば、やぁだ、顔が死人のようですわ。あら、やだ、私ってば本当のことを……」

同じく純白の衣装に身を包んだ私の妹イリナは、ツインテールの髪を指でもて遊びながらにたにたと笑っている。

同じなのは純白の色だけで、妹のドレスはピッタリとしたマーメイドラインのドレスで、金糸で精巧な刺繍が施されている。妹は私とは違い、肉付きも良く、出るところは女性らしく出ている。そのため私とは違いキラキラとした視線を向けられているのはいたしかたない。

外見から性格は分からないもの。
妹がどれだけあざとく、計算高く、私を貶めることに無類の喜びを感じているか……。無垢な聖女とは名ばかりで、私の婚約者を寝取り、しかも私を殺そうとしたかなんて分からないものね。


絶対に妹の思う通りになんてさせない。

大人しく殺されたりなんかしないわ。



17歳という年齢のわりにその髪型はどうなのかと思わなくもないけれど、まだ幼さの残る顔立ちなので許容範囲なのかしら。

その顔で、そのスタイルで、そのドレスは、アンバランスだと思うけれど、誰も止める者がいないので、世間の感覚と私がずれているだけなのでしょうね。

本当は今すぐにでも逃げ出したい。

怖い……あの祭壇にたどり着いたら、その時が決行の時。
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