婚約者を寝取った妹と浮気した婚約者に命懸けの復讐をしようと思います〜その後待っていたのは溺愛でした〜

あの時言った言葉は……

「あぁ、ユリア、ここにいたのですか、探しましたよ」

「カイル?ふふふ、どうかしたの?きゃぁ」


窓辺にあるソファーで寛いでいると、血相を変えたカイルが室内に飛び込んでくる。

私の姿を捉えると一目散に飛びつくようにぎゅうっと強く抱きしめられた。


「ど、どうしたの?ちょっと紅茶を飲んでいただけよ」

「これからはどこにいるのか逐一報告してください」

少し掠れた声と吐息が耳に入ってくる。
その様子からかなり心配をかけてしまったのだと反省する。

カイルの背中に手を回して「家の中なのに?」と安心させるように明るく問いかける。

「んん⁉︎」

すると、ぐるんと視界が反転したかと思うと、カイルの膝に乗せられて、唇を塞がれていた。

「家の中でもです。どの部屋にいるのか逐一私に、お願いですから」


「え、えぇ、分かったわ、カイルは心配性なのね。でも、レオナルド殿下やイリナがここに来るとも……思えない……カイル?」


あれ?なんだかひんやりしてきたわ。
カイルの膝に乗せられた状態なので、上から覗き込むようにカイルと視線を合わそうとする。

「ねぇ、カイル?少し瞳が……何か気に障るようなことを言ったかしら……」


「──」


「え?カイル、なんて言ったの?」

「ユリア、あなたの口からバカルド殿下のいや、もう廃嫡されたのだったな、バカルドという言葉が聞こえたからです」


「バ?ちょっと、カイル、いくらなんでもそんな呼び方はいけないわ。人を貶めるようなことをしてはだめでしょう?」


「散々、あいつらはユリアに酷いことをしたのに?あぁ、ユリア、あなたは優しいですね」

「んっ!ちょっ、カイル、まだ、こんな時間に…」

またしてもカイルにベッドへと連れ去られそうになるのを、なんとか制止しようと試みる。

「カイル、でも、お仕事は大丈夫なの?
カイルのような優秀な魔術師がいなくなって、今頃は混乱しているでしょうね、そう言えば、この国での私たちの立場はどうなっているの?」

「知りたいですか?」
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