呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
17. 帝国へ
エスティリオは一体、どうするつもりなのかしら。
外出するための身支度をしながら、ラシェルはこれから一体何が起こるのか分からない不安に襲われていた。
エルがラシェルであったことを知っていたと、エスティリオから明かされたあの日から、もうふた月ほどが経つ。
その間は至って平穏で、ラシェルはこれまで通りエルとして薬草栽培研究官として働き、仕事により一層邁進していた。
一方、リオの正体がラシェルにバレてしまったエスティリオは、あれ以来犬の姿になって現れることはなくなった。
「これから少し忙しくなる」と言っていた通り、本当に多忙を極めているようで、ラシェルが次に会った時には目の下にくっきりとしたクマを作って元気がなかった。
今から一週間前。
エスティリオの侍従アルノートに「魔塔主様がお呼びです」と言われついて行くと、瀕死状態のエスティリオがいた。
「もう無理……お願い。チャージさせて」
フラフラしながらラシェルに抱きつくと、エスティリオはそのまま眠ってしまった。
「あの……どうしましょう」
ソファに座り、膝枕をした状態になったラシェルが困ってアルノートに尋ねると、こちらは含み笑いをしている。
「エルさんには申し訳ありませんが、少し休ませてあげてください。ここ1、2ヶ月ほど、まともに休んでいらっしゃらないので」
「そんなに忙しいのですね」
「魔塔主領から離れる予定があるので、その前に済ませなければならない事が山ほどあるのですよ」
「外出……されるのですか?」
「その話は後ほど、ベクレル様がお目覚めになったら説明があるかと思います」
「分かりました。そうしたら尚更、ここではなくきちんとお休みになれるベッドへ運んだ方が良いのでは」
「いえいえ。エルさんさえ良ければ、そのままにしておいてあげて下さい」
「そうですか……」
エスティリオはスースーと寝息を立てている。こういう所は本当に、リオそのままだ。