呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
20. 伝え合う気持ち
「疲れた……」
リリアンヌに魔法のレッスンをしてからアフターヌーンティーに付き合い、更にそのまま会食へ。
ずっとリリアンヌに腕を掴まれくっ付いてくるものだから、「知らないうちにこんなに親しい間柄になって」などと皇帝と皇妃から言われ、精神的ダメージが酷い。
唸りながらダランと座った主人に、アルノートがいつも通り、ラシェルブレンドのお茶を入れてくれている。
この香りを嗅ぐと心が安らぐ。
一口お茶を口に含んで気の緩んだエスティリオは、アルノートに愚痴をこぼした。
「あれの何処が天真爛漫なんだ? 厚顔無恥の間違いだろ」
「長所と短所は表裏一体でございますから。見る人によっては、愛くるしいと感じる方もいらっしゃるでしょう」
「ははっ、見る人によってはねぇ。じゃあアルノートは彼女をどう見る?」
背もたれから身体を起こしてニヤッと笑うと、アルノートはコホンっと小さく咳払いをした。
「まあ正直申し上げますと、ベクレル様の好みのタイプとは遠くかけ離れ過ぎていると言いますか、真逆といいますか。全くもって合わないとお見受けしました」
「なるほど」
「ついでにもうひとつ加えさせて頂くならば」
「ならば?」
「私はあの御仁にお仕えするのは、御免こうむりたいですね」
「忌憚のない意見をありがとう」
ラシェルの妹だからと我慢したが、これ以上の深入りはやめておこうと決意した。
ティーカップに残るお茶を飲み干していると、アルノートが物言いたげにじっと見てくる。
「なに?」
「ベクレル様のお気持ちがどうであれ、傍から見ると仲睦まじそうに見えましたよ」
「は?」
「特に、エルさんの部屋の窓からは」
ラシェルの部屋の窓?
南側の日当たりのいい、3階の部屋。エスティリオが使っている部屋の真上だ。
ちらりと自分の部屋の窓の外を見ると、リリアンヌに付き合わされた庭園が見える。今は暗いが、昼間ならよく見えたはずだ。
「ちょっと上に行ってくる」
「ええ、是非そうしてください」
全く、気の利く侍従だ。
すました顔でティーセットを片付けるアルノートを置いて、エスティリオは部屋からパッと消えた。