呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
21. 魔塔主の力
小瓶に入った魔法薬を2つ。
エスティリオがパーティーへ行く前、懐へしまい込む様子を見て、こちらも正装を決め込んだアルノートが顔をしかめた。
「そんな物を持ち込んで、何をなさるおつもりなのやら」
「何をなさってもお前は俺の見方だろう?」
「どうでしょう。内容によりますかね」
「なら心配ない」
アルノートはなんだかんだ言っても、エスティリオを信頼してくれている。その逆も然り。
いつも深くは追求しないでいてくれるが、適切なサポートは欠かさない。だから最も近くに侍る者として、エスティリオはなかなか芽の出なかったアルノートを抜擢した。
ラシェルには先程少しだけ会って話をしたし、準備は整っている。
「さて、行こうか」
魔塔主が交代し、就任式以外では今回が初めてのパーティーへの参加となる。
帝国は一番に魔塔主を呼び寄せられたことを、他国に誇示したいのだろう。
巨大な会場には皇帝が自慢げに話していたように、国内外問わず、王族や貴族が大勢参加しに来ている。
「レディ、参りましょうか」
「ええ!」
会場へは、リリアンヌをエスコートしながらの入場。コッテコテにめかしこんだリリアンヌは、エスティリオの腕に絡み付くようにして隣に並んだ。面倒でもここは大人しく従い、波風を立てないように。
ラシェルを探すと、渡しておいた服に着替えて使用人の振りをしている。
エルとしての容姿はどちらかというと地味で人の目をあまり引かないし、ラシェルはそつなくなんでもこなせてしまうタイプの人なので違和感は無い。
もう幾人としたのか分からない程の貴人と挨拶を交わし、踊りたくもないダンスをリリアンヌと踊った。
いちいち「リリアンヌ様とお似合いですね」なんてひと言はいらない。リリアンヌは余計に調子に乗ってベタベタしてくるし、この人の目は節穴かと疑いたくなる。