呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
22. エルからラシェルへ
パーティーがあった日から一週間。
あの後すぐに魔塔へ帰れたわけではなく、後処理もろもろで、予定が押してしまった。
まず、ラシェルとエスティリオとの結婚が決まったあの直後、水を差すような出来事が。
第6皇女のリリアンヌが「ちょっと待った!」と声を上げたのだ。
「エスティリオ様、これは一体どういう事なの?!」
「どういうことって?」
「私とのことよ?! 私との結婚はどうなったの!!?」
「なんで俺が君と?」
「わっ、私を弄んだのね?!」
「人聞きの悪い。君はいずれ妹になるからと思って接していただけだよ。申し訳ないけど俺、君みたいなガキっぽい子無理だから」
「そんな……っ」
泣き叫ぶ妹の姿を見るのはラシェルとしては辛いものがあったけれど、エスティリオが態度をはっきりと示してくれたことに安堵したのもまた事実。
「まさかエルさんが皇女殿下とは、思いもよりませんでしたよ」
泣きながら連れていかれるリリアンヌをわき目に、アルノートがラシェルの元へとやってきた。
「保身の為、というのはどうやら、正解だったようですね」
イタズラげに笑ってみせると、アルノートもまた「一本取られました」といって笑っている。
そのあと嫉妬心を燃やしたエスティリオに、アルノートが声を出せなくさせられていたのは困ったけれど、二人は仲良しなのだと思うことにした。
それから大きな出来後も。
皇帝が皇太子に帝位を譲ることを決め、近々新たな皇帝が即位することになったのだ。
生前退位はもう何代も行われていないが、あの一件で求心力が落ちたことと、流石に恥ずかしくて表には出られなくなってしまったようだ。
更に皇女が嫁ぐエスティリオは、まだどの国からも爵位を貰っていないということで、帝国からは公爵の位を、他国からも幾つか爵位を与えれることになっている。
エスティリオの力を目の当たりにしたことで、もう彼を「若造」と言って侮るものはいなくなった。
実際魔塔へ帰ってみると、既に各国の王や皇帝を威圧したという話は伝わっており、帰ってきたエスティリオに対する態度がガラリと変わったのが分かるほどに。
兄である皇太子からは、結婚するまでしばらく皇宮にいないかと提案されたが、エスティリオが即却下していた。
それにラシェルとしても、薬草栽培研究官としての仕事がそのままだし、薬草畑も気になる。丁寧にお断りして、エスティリオ達と一緒に帰ることにした。