初めまして皇帝陛下。どうぞ離婚してくださいませ〜3年放置された花嫁は離婚を突きつける〜

エピローグ

 帝都の大教会で、軍服を着たヴォルフと真っ白いドレスを身に纏った私は祭壇の前に立っていた。教皇猊下と向かい合いに。

 華やかな結婚式を祝うべく、何度も教会の鐘が鳴り響く。

 にこにこと笑顔のリングボーイを務めるのはハンス。大切な一対の指輪を豪奢なクッションの上に乗せて、それを手に持って教皇猊下の隣に立っている。

 クリスティーナさまと、乳母に抱かれたアドラーが親戚席で見守ってくれている。

「新郎ヴォルフ・ロイエンタール。あなたはここにいるコルネリア・ロイエンタールを、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、その命のある限り妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」

「はい、誓います」

 教皇猊下の言葉に、ヴォルフが答える。

「では、新婦コルネリア・ロイエンタール。あなたはここにいるヴォルフ・ロイエンタールを、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、その命のある限り夫として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」

「はい、誓います」

「では、指輪の交換を」

 それを聞いて、ハンスが私たちの真ん中に移動してきて立つ。

 彼が持つクッションの上からヴォルフが指輪を取り、私の指に嵌める。

 次に、私がクッションの上から残りの指輪を取り、ヴォルフの指に嵌めた。

「皆さん、このふたりの上に神の祝福があらんことを願いましょう。結婚の絆によって結ばれたこのふたりを神が慈しみ深く守り、助けてくださるよう祈りましょう。神よ、これにて、このふたりの結婚を祝福ください!」

 明るい日差しが差し込む教会の中で、ひときわ高らかに、天まで届くような鐘の音が空に鳴り響く。

「この結婚は神の名の下に成立しました!」

 わあっと会場が歓声に包まれる。

 私とヴォルフは抱き合った。

「愛している。もうずっと離さない、コルネリア」

「ええ、私もよ、ヴォルフ」

 そうして私たちを祝う人々に、私たちは囲まれるのだった。

 ヴォルフという伴侶を得て、そしてふたりの間にアドラーという子に恵まれた。これからは、温かい家庭を築いていこう。私はそんな明るい未来予想図を描く。

 私たちは、明るい日差しの差し込んでくる出口へと手を取り合って歩いて行くのだった。
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