婚約破棄したいなら、それなりの努力をなさいませ?

01

「聖女様!お願いがあります!どうか一緒に来てください!」

やっと人から解放されて、1人でゆっくりお酒を飲もうと思っていたところ、話しかけられてビクッとしてしまった。

私はフィリオ:バロム。
ガルビア国に使える聖女だ。

今日は王宮で行われている第三王子の誕生日パーティーに出席している。
普段は祈りを理由にパーティーをばっくれているけれど、さすがに王子の誕生日パーティーに出席しないわけにはいかない。
ってことで、久しぶりに王宮のパーティー出席したんだけど、さっきまで代わる代わる話しかけられて大変だった。

まぁ…私聖女だし、話しかけられるのは仕方ないんだけどさ。
だからできるだけパーティーは欠席するようにしているんだよね。

たくさんの人と話してクタクタで、ようやく1人になれたのに…。
誰よ。私の休息タイムを邪魔するのは。

そう思って相手の方を振り向くと、黒髪ツインテールで淡いイエローのドレスを着た若い令嬢に、鬼気迫った表情でガシィッと両手を掴また。

「聖女様!こちらです!」

令嬢はそのまま私の手を引いて行こうとする。
ってだから誰!?私あなたのこと知らないんですけど!

「ちょっと待ってください!何かトラブルでも起こったのですか?」

私は令嬢を制止した。

「実は、聖女様に説得していただきたい方がいるのです。とにかくこちらへ!」

私の腕を引いて歩き出す令嬢。
可憐でかわいらしい雰囲気なのに、怪力じゃん…。
私はあれよあれよとバルコニーへ連れていかれてしまった。
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