君ともう一度、 恋を始めるために
プロローグ・・・記憶
柔らかな日差しが頬にあたる温かくて心地のいいひと時。
最近久しく感じることのなかったやすらぎの中で、柚葉はカップに注がれた紅茶を口にする。
こんな時子供の頃から選ぶのは、いつもミルクティーでもカフェオレでもなくレモンを浮かべてレモンティー。

―――母も紅茶好きだったから、似たのかもしれないな。

だからと言ってコーヒーが嫌いなわけではない。
丁寧にドリップしたコーヒーの香りは心が落ち着くし、早く目覚めた朝に自分で入れたコーヒーは至福の味わいだと思う。
でもやはり、ゆっくりと本を片手に過ごす時間にはレモンティーを側に置きたい。
そう言えば、あの日も柚葉はレモンティーを飲んでいた。
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