君ともう一度、 恋を始めるために

さらなる災難

4年間にわたり心の中に押さえ込んできた気持ちを、柚葉はやっと解放した。
安否がわからず心配し続けた涼がいきなり現れ、驚きとともにうれしさが込み上げてきて溢れ出る感情が抑えられなくなった。
この先に不安なことがない訳ではないが、これからは自分の気持ちに素直に生きようと決心できた。
これもすべて涼のお陰だ。

「とにかく、良かったじゃないの」
「うん、まあね」

涼が訪ねて来てから半月ほどたった11月末の日曜日、柚葉は優香と娘の莉奈と共に近所のファミレスにいた。
涼の安否がわからず心配していたころを知る優香には状況を報告しておく方がいいだろうと思い、柚葉が呼び出したのだ。
涼が東京に帰ってから数日後には退院の報道があり、その模様も週刊誌にスクープされていた。
その後もしばらくは色々な報道が飛び交っていたが、元気になった涼が公の場に登場したことで少しずつ終息していき、玲奈についての報道もめっきり減りテレビやネット上で姿を見ることもなくなった。
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