君ともう一度、 恋を始めるために
試練
速水玲奈の企み
莉奈のケガから10日後、柚葉は友人である佐倉優香と共に下関駅前のカフェにいた。
久しぶりに休みが取れたものの平日の今日は莉奈が保育園に行っているため、柚葉は一人で父の様子を見に下関を訪れた後、たまたま休みだった優香と合流した。
「莉奈ちゃん、たいしたことなくてよかったわね」
「ええ、本当に」
幸い莉奈のケガは軽症で、翌日には退院した。
保育園にもすぐに行けるようになり、柚葉もホッとした。
「その後、彼は何か言ってきた?」
一通りの事情を聞いている優香からすれば、そこが一番気になるのだろう。
「何も」
「何もって・・・」
呆れたような顔をする優香に、柚葉は苦笑してしまった。
先日涼と3度目の再会を果たし、その場でお互いの連絡先を交換した。
その日以降、毎日のように涼からのメッセージが届くし、柚葉も返信をするようにしている。
しかし内容は日々の出来事ばかりで、莉奈について話題に上ることはなかった。
「彼、何を考えているのかしら?」
「さあ、私にはわからないわ」
涼だって、莉奈の存在はすでに知っているわけだし、その出生についても疑念を持っているようだった。
だからこそ「父親は誰なんだ」と聞かれるものと思っていたのだが、不思議なことに涼は一度も莉奈の話題に触れてこない。
そこに涼のどんな意図があるのかがわからず不安は感じるものの、後ろめたい思いのある柚葉は問い詰められないことに少しだけ安堵していた。
久しぶりに休みが取れたものの平日の今日は莉奈が保育園に行っているため、柚葉は一人で父の様子を見に下関を訪れた後、たまたま休みだった優香と合流した。
「莉奈ちゃん、たいしたことなくてよかったわね」
「ええ、本当に」
幸い莉奈のケガは軽症で、翌日には退院した。
保育園にもすぐに行けるようになり、柚葉もホッとした。
「その後、彼は何か言ってきた?」
一通りの事情を聞いている優香からすれば、そこが一番気になるのだろう。
「何も」
「何もって・・・」
呆れたような顔をする優香に、柚葉は苦笑してしまった。
先日涼と3度目の再会を果たし、その場でお互いの連絡先を交換した。
その日以降、毎日のように涼からのメッセージが届くし、柚葉も返信をするようにしている。
しかし内容は日々の出来事ばかりで、莉奈について話題に上ることはなかった。
「彼、何を考えているのかしら?」
「さあ、私にはわからないわ」
涼だって、莉奈の存在はすでに知っているわけだし、その出生についても疑念を持っているようだった。
だからこそ「父親は誰なんだ」と聞かれるものと思っていたのだが、不思議なことに涼は一度も莉奈の話題に触れてこない。
そこに涼のどんな意図があるのかがわからず不安は感じるものの、後ろめたい思いのある柚葉は問い詰められないことに少しだけ安堵していた。