君ともう一度、 恋を始めるために

言えない思い

『今日はプラハに来ているよ。街並みがきれいで、柚葉もきっと気にいると思う街だ。いつかまた一緒に来たいな』

久しぶりに涼から送られてきた画像付きのメッセージ。
それまで毎日のように届いていたものが3,4日に一度になった時点で、仕事が忙しいのだろうと想像はできた。
事前に連絡ができなくなるかもしれないと聞かされていたし、今が涼にとっても神崎グループにとっても正念場なのは理解している。
だからこそ、柚葉は涼に何も相談することができないでいた。

「柚葉、明日から東京に行くんだったね?」
「ええ」

祖母に確認され、柚葉は肩を落とす。
事情を知らない莉奈は東京に行くことを喜んでいるけれど、正直柚葉は気が重い。
なにしろ東京では、涼の母との面会が予定されているのだ。
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