愛しのマイガール
愛のかたちを探して
❁。✩
静まり返った書斎に、紙をめくる音だけが響いていた。
目の前に広がるのは、天城さんが用意してくれた訴訟資料。証拠提出用の書類、出来事の時系列、相手側からの開示請求への回答案……。
一つひとつの言葉の意味を完璧に理解しているわけじゃない。けれど、なぜか目をそらすことができなかった。
最初はただ、眺めているだけだった。でも、ふと気がつくと、私は自分でペンを取っていた。
「……これ、SNSの投稿時間と一致してないんじゃ……?」
ぽつりと漏らした独り言に、静かに資料を整理していた伊澄さんが、ちらっと私を見た。
そして一度だけ小さく頷いて「気づいたなら、こちらにメモを」と、淡々と付箋を差し出してくれた。
相変わらずの冷たい声。でも、否定はされなかった。
それだけのことが、思っていた以上に不安を抱いていた気持ちを落ち着かせた。もう少しだけ、やってみよう。そう思えた。
私は視線を資料に戻し、付箋に小さな文字で気づいた点をメモする。何が正しい判断かは分からない。けれど、自分の目と手で進めなければと奮い立たせた。
「……この支払い明細、相手方の請求内容と日付がズレている気がします」
恐る恐る指を差すと、天城さんは手を止めて確認し、短く頷いた。
「確認済みです。こちらで不整合として指摘に盛り込みますが、あなたのように主観で整理できることも大事です。記録しておいてください」
「はい……わかりました」
静まり返った書斎に、紙をめくる音だけが響いていた。
目の前に広がるのは、天城さんが用意してくれた訴訟資料。証拠提出用の書類、出来事の時系列、相手側からの開示請求への回答案……。
一つひとつの言葉の意味を完璧に理解しているわけじゃない。けれど、なぜか目をそらすことができなかった。
最初はただ、眺めているだけだった。でも、ふと気がつくと、私は自分でペンを取っていた。
「……これ、SNSの投稿時間と一致してないんじゃ……?」
ぽつりと漏らした独り言に、静かに資料を整理していた伊澄さんが、ちらっと私を見た。
そして一度だけ小さく頷いて「気づいたなら、こちらにメモを」と、淡々と付箋を差し出してくれた。
相変わらずの冷たい声。でも、否定はされなかった。
それだけのことが、思っていた以上に不安を抱いていた気持ちを落ち着かせた。もう少しだけ、やってみよう。そう思えた。
私は視線を資料に戻し、付箋に小さな文字で気づいた点をメモする。何が正しい判断かは分からない。けれど、自分の目と手で進めなければと奮い立たせた。
「……この支払い明細、相手方の請求内容と日付がズレている気がします」
恐る恐る指を差すと、天城さんは手を止めて確認し、短く頷いた。
「確認済みです。こちらで不整合として指摘に盛り込みますが、あなたのように主観で整理できることも大事です。記録しておいてください」
「はい……わかりました」