愛しのマイガール
終章

月城邸の中庭には、今日も淡い花の香りと穏やかな風が満ちていた。

薫子さんの件もすっかり落ち着き、世間も少しずつ騒ぎを手放し始めている。

記者会見の日のことは、もうずいぶん前のことのようで、それでも私の胸の奥にはあの日の記憶が鮮やかに残っていた。

ふと振り返ると、ハルちゃんが木漏れ日の下に立っている。その姿を見ただけで、胸が甘くしびれる。

昔、私が無邪気に言ったあの言葉。


「おおきくなったら、ハルちゃんとけっこんする」


あのときはただ、大好きな人の隣にいたかっただけ。

けれど今は違う。
たくさん傷ついて、遠回りして、何度も立ち止まりながら、それでもこの人の隣に辿り着いた。


初恋が叶うなんて、奇跡みたいなこと。

でも、それをただの奇跡で終わらなかった。それもぜんぶ、ハルちゃんのおかげ。


「るり。おいで」

ハルちゃんが微笑んで、両手を広げる。

「…ハルちゃん!」

私は駆け足で飛び込み、ふたりでぎゅっと抱きしめあった。

「行こうか」

「うん」

ふたりの影が並んで、陽だまりの中に溶けていく。


初恋が、今は愛という名前になった。そしてそれは、これから先もずっと私たちを包んでくれる。

ハルちゃんとなら、どんな未来もきっと乗り越えられる。
私はもう、そうを信じられる。





小さな頃の私へ。
あのとき言ってくれて、ありがとう。
そして、これからもよろしくね。

物語は、ここからまた新しいページをめくっていく。

──愛しのマイガールは、永遠に。






Fin...
< 200 / 200 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:195

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

それは麻薬のような愛だった
春夏冬/著

総文字数/137,943

恋愛(純愛)215ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
⿻*⌖.:˚◌˳˚⌖ ⿻*⌖.:˚ 杜川 雫 (税理士事務所勤務 税理士) × 天城 伊澄 (大手法律事務所勤務 弁護士) ⿻*⌖.:˚◌˳˚⌖ ⿻*⌖.:˚ どれほど苦しく心が壊れても 彼以外は愛せない ※同タイトル、原版に大きく加筆・修正した作品になります。 ※こちらの話はフィクションであり、実際の職業とは職務内容が異なる場合がございます。ご了承ください。
Dearest My Lady
春夏冬/著

総文字数/69,417

恋愛(純愛)122ページ

マカロン文庫新人コンテストエントリー中
表紙を見る 表紙を閉じる
⿻*⌖.:˚ ◌˳˚⌖ ⿻*⌖.:˚ 天城 紬 (獣医) × 月城 央 (月城財閥 御曹司) ⿻*⌖.:˚ ◌˳˚⌖ ⿻*⌖.:˚ ずっと、君を迎える準備をしていた。 気づかないまま、この溺愛は始まっていた。 ***関連作品*** 「それは麻薬のような愛だった」 「私のマイガール」
治療不可能な恋をした
春夏冬/著

総文字数/177,675

恋愛(オフィスラブ)306ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
. . 𖥧 𖥧 𖧧 ˒˒. . 𖡼.𖤣𖥧 ⠜ . . 𖥧 𖥧 𖧧 ˒˒ 仁科梨乃 (小児科医) × 逢坂理人 (心臓外科医) . . 𖥧 𖥧 𖧧 ˒˒. . 𖡼.𖤣𖥧 ⠜ . . 𖥧 𖥧 𖧧 ˒˒ 一夜をなかったことにしたふたりの 再会からはじまるじれ甘な恋。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop