愛しのマイガール
仮の婚約、本気の加護
❁。✩
タクシーのドアが開いた瞬間、冷えた夜風が頬をかすめた。目の前にそびえる建物を見上げて、私は思わず息を呑む。
──パレス・ルナティア。
都内でも指折りの格式を誇るホテル。
ハルちゃんの実家、月城グループが経営する最高級の施設。
白銀の外壁は月光のように輝いていて、円弧を描いたガラスのエントランスはまるで異世界の宮殿みたいだった。
「こ、ここ……?」
気圧されるようにして、家まで迎えにきてくれたハルちゃんのあとに続いた。
中に入った瞬間、別世界に踏み込んだみたいに空気が変わった。高く広がる天井。静かに灯るシャンデリア。柔らかなピアノの音色。
どれも落ち着いていて、美しくて、現実離れしていた。
通りすぎるスタッフが皆、ハルちゃんに深く頭を下げる。そのたびに彼が“特別”なんだと思い知らされる。
「最上階に月城家の専用フロアがある。これからはそこを使って」
当たり前のように告げるハルちゃんの声に導かれて、私はセキュリティ付きのエレベーターに乗った。
カードキーをかざすと扉が閉まり、静かに上昇していく。
着いた先は、ふわりと花の香りがする優しい空間。静かでいい匂いがして、グランドピアノまで置かれていて…まるで舞台裏の休息所みたいだった。
「……この部屋……」
言葉が漏れた。
「ここがしばらく滞在してもらうるりの部屋。全部、君のために用意した」
タクシーのドアが開いた瞬間、冷えた夜風が頬をかすめた。目の前にそびえる建物を見上げて、私は思わず息を呑む。
──パレス・ルナティア。
都内でも指折りの格式を誇るホテル。
ハルちゃんの実家、月城グループが経営する最高級の施設。
白銀の外壁は月光のように輝いていて、円弧を描いたガラスのエントランスはまるで異世界の宮殿みたいだった。
「こ、ここ……?」
気圧されるようにして、家まで迎えにきてくれたハルちゃんのあとに続いた。
中に入った瞬間、別世界に踏み込んだみたいに空気が変わった。高く広がる天井。静かに灯るシャンデリア。柔らかなピアノの音色。
どれも落ち着いていて、美しくて、現実離れしていた。
通りすぎるスタッフが皆、ハルちゃんに深く頭を下げる。そのたびに彼が“特別”なんだと思い知らされる。
「最上階に月城家の専用フロアがある。これからはそこを使って」
当たり前のように告げるハルちゃんの声に導かれて、私はセキュリティ付きのエレベーターに乗った。
カードキーをかざすと扉が閉まり、静かに上昇していく。
着いた先は、ふわりと花の香りがする優しい空間。静かでいい匂いがして、グランドピアノまで置かれていて…まるで舞台裏の休息所みたいだった。
「……この部屋……」
言葉が漏れた。
「ここがしばらく滞在してもらうるりの部屋。全部、君のために用意した」