神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない

第9部 魔女クラリーチェとの激闘

城の中に足を踏み入れると、私たちは馬から降りた。

冷たい石の床。長く続く薄暗い廊下。

天井の燭台には、青白い炎がぼんやりと揺れている。

「……嫌な気配がする。」

私の呟きに、レオは頷いた。

すると――

ギィィィィン……ッ!

重厚な音を立てて、大広間の扉が突然開かれた。

「油断するな!」

レオが咄嗟に聖剣を構えた。

しかしその時、私たちの足が動かなくなる。

まるで見えない手に引かれるように、体が勝手に大広間の中へと――吸い込まれていく。

「くっ……なんて強い魔力だ……!」

大広間の奥――黒曜石の玉座の上に、彼女はいた。

長い髪を翻し、妖艶に立ち上がる女。

クラリーチェ・ルーヴェン。

その瞳は、青い光に妖しく染まり、まるでこちらを見透かすように輝いていた。

「ようこそ、我が城――カストル・ノクティスへ。」

唇に冷笑を浮かべ、クラリーチェは静かに言い放った。

「クラリーチェ!覚悟しろッ!」

レオが一歩踏み出し、聖剣を突き出す。
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