神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない

第10部 結婚式

その日、私は白銀の刺繍がほどこされた花嫁衣装に身を包んでいた。

鏡に映る自分の姿が、少しだけ他人のように見える。――まるで夢の中みたい。

コンコン、と扉がノックされて、ゆっくりと開く。

現れたのは、正装に身を包んだ皇太子レオナルト。

金色の瞳が私をとらえた瞬間、彼の表情がふっと緩む。

「綺麗だ……」

そう呟いた声は、少しだけ震えていた。

私は思わず笑ってしまう。

「そんなに緊張してるの?」

「当たり前だ。今日は……君を俺の妻に迎える日だから。」

その言葉に胸が熱くなる。

「……あっという間だったね。」

私が微笑むと、レオはゆっくりと首を横に振った。

「いや、長かった。」

真っ直ぐな瞳で私を見る。

「君と出会ったあの日から、ずっと――毎日、君と並んで歩ける日を夢見てた。その想いが、ようやく今日叶う。」

私はそっと彼の手を取った。

「ありがとう、レオ。私も……ずっと、この日を夢見てた。」
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