神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない

第3部 絡まる心と想い

そして私は、穢土の場所を調べては、浄化に出向いた。

中には馬車でなければ行けないほど遠い土地もあった。

「立派な馬車ね……」

自分の口からこぼれた言葉に、思わず照れてしまう。

そう、これは王宮付きの“聖女”である私のために用意されたもの。

……なのに、どこかまだ、似合わない気がしていた。

ふわりとレースのドレスを整えて乗り込もうとした時だった。

「お待たせ。」

振り返ると、レオ様――皇太子殿下が、私のすぐ後ろにいた。

「レオ様?」

「俺も一緒に行くよ。」

そう言って、当然のように私の隣に乗り込んできた。

「え……でも、お忙しいのでは?」

「君に何かあったら、俺が困るからね」

その言葉に、胸の奥がじんわり熱くなった。

「それって……守護役としての、義務、ですか?」

問いかける声が、少しだけ震えていたかもしれない。

レオ様は私のほうに身体を向け、ゆっくりと微笑んだ。

「もちろん、守護役だからっていうのもあるよ。」
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