神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない

第6部 魔女の一族

「聖女様、これを!」

祖母の家から戻った使用人が、息を切らしながら私の元へ駆け込んできた。

手にしていたのは、革で綴じられた古びた文書――

封蝋の印は、エルデンの旧神殿に伝わるものだった。

震える手で受け取った表紙には、かすれた文字が刻まれていた。

【 魔女の一族、神殿に記す 】

「……神殿?」

私は、胸の奥に何かが閃いたような感覚を覚えた。

「そこに、全てが――」

私は走った。靴音が石畳に響き、神殿の門へとたどり着く。

夜明けの光が差し込む聖域に、一人立ち尽くす。

魔女の一族を記す……いったいどこに?

「エミリア!」

背後から聞こえた声に振り返ると、レオが息を切らしていた。

「どうした?こんな朝早くに。」

「神殿の中に……魔女の一族の記録があるのよ。」

「魔女の……?」

レオの顔が引き締まる。

「一緒に探す!」

私たちは、壁の彫刻、床の紋様、祭壇の裏……
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