神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない

第7部 魔力にとらわれる王

だが、それは翌日に起こった。

「クラリーチェを皇太子妃にする。」

信託の場。神殿で祈りを捧げていた最中に、突然、国王がそう宣言した。

「待ってください!」

私は思わず声を上げていた。

神官たちはざわつき、場は一瞬凍りついた。

「式は明日だ。」

国王の声は、どこか平坦で冷たい。あの思慮深く、慎重な国王とはまるで別人のようだった。

「なぜ……そんな急に……」

誰かが小声でつぶやいたときだった。

私は、王の瞳の奥に――確かに、見た。

青い光が、ゆらりと揺れていたのだ。

「国王!」

私が叫ぶと、レオがすぐに私の元へ駆け寄る。

「どうした、エミリア!」

「国王の中に……魔力を感じます!」

「魔力⁉」

レオは即座に剣の柄に手をかけたが、動けない。目の前の人物は、父王なのだ。

「この場での発言は、神託として正式に記録されます。よろしいですね、陛下……?」
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