片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
8・ストーカー騒ぎとデート
圭信と結婚の約束をしてから2日後。
イルデンの上層部はついに重い腰を上げ、女性達が相次いで下着を盗まれる事件が多発している件を問題視し、全社員に防犯グッズを配布した。
「これって、被害に合う前提ですよね……」
オープンハートを半分に割ったデザインの携帯ストラップは防犯ベル機能がついている。犯人を見つけた瞬間、それを鳴らして周りの注目を集めろと言うことなのだろう。
犯行を未然に防ぐような代物ではなかったため、後輩は落胆の色を隠せないようだ。
「被害者、100人超えって聞きましたよ」
「えー? それ、ほんとに1人でやってるの?」
「噂では、SNSで犯罪グループが集まって……」
ロッカールームで噂話に花を咲かせる同僚達の会話を話半分に聞いている間、珍しい人からメッセージが届いていることに気づく。
『まともに取り合ってもらえないようなら、担当刑事の名刺を持って私のところに来なさい』
それは下着泥棒の被害に合う直前、父親へ相談した内容の返信だった。
――お父さん、相変わらず忙しそうだな……。
圭信は両親に会いたがっていたが、この様子では2人揃って顔を合わせるのは難しそうだ。
『結婚相手が見つかったみたいだな。一度言ってみたかったんだ。娘はやらんと。会うのを楽しみにしてる』
そんなこちらの思惑を見透かしたようなメッセージを目にして、私は口元を綻ばせた。
――そう言えばお父さんって、昔からこう言う人だった。
たとえ数分しか顔を出せなくても、必ず姿を見せてくれる。
挨拶程度しか出来ないかもしれないけど……。
心配する必要はなかったようだ。
イルデンの上層部はついに重い腰を上げ、女性達が相次いで下着を盗まれる事件が多発している件を問題視し、全社員に防犯グッズを配布した。
「これって、被害に合う前提ですよね……」
オープンハートを半分に割ったデザインの携帯ストラップは防犯ベル機能がついている。犯人を見つけた瞬間、それを鳴らして周りの注目を集めろと言うことなのだろう。
犯行を未然に防ぐような代物ではなかったため、後輩は落胆の色を隠せないようだ。
「被害者、100人超えって聞きましたよ」
「えー? それ、ほんとに1人でやってるの?」
「噂では、SNSで犯罪グループが集まって……」
ロッカールームで噂話に花を咲かせる同僚達の会話を話半分に聞いている間、珍しい人からメッセージが届いていることに気づく。
『まともに取り合ってもらえないようなら、担当刑事の名刺を持って私のところに来なさい』
それは下着泥棒の被害に合う直前、父親へ相談した内容の返信だった。
――お父さん、相変わらず忙しそうだな……。
圭信は両親に会いたがっていたが、この様子では2人揃って顔を合わせるのは難しそうだ。
『結婚相手が見つかったみたいだな。一度言ってみたかったんだ。娘はやらんと。会うのを楽しみにしてる』
そんなこちらの思惑を見透かしたようなメッセージを目にして、私は口元を綻ばせた。
――そう言えばお父さんって、昔からこう言う人だった。
たとえ数分しか顔を出せなくても、必ず姿を見せてくれる。
挨拶程度しか出来ないかもしれないけど……。
心配する必要はなかったようだ。