片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
13・これからも、夫婦で一緒に

事情徴収(圭信)

 署に戻ると、豊臣警視総監から呼び出しを受けた。

「事の顛末は、君にも聞いておいてほしい」

 彼はそう告げると、取調室の中へ入った。

「久しぶりだな。お嬢さん」
「ようやく会えましたね。クズ野郎……! 娘を傷つけられそうになって、ようやく重い腰を上げたんですか。今さらあたしと話をして、一体なんになると……」
「言葉を慎め」
「ああ……。その瞳……。ようやく思い出しました。あなた、あたし達の邪魔をした……豊臣先輩の彼氏様じゃないですか……」
「僕は愛奈の夫だ」

 僕と妻の関係は、プライベートな話だ。
 こんな場所で暴露するべきではないとわかっていても、怒りに全身を支配されている状況では自制ができない。

「ふーん。父親だけじゃなく、旦那さんまで警察関係者だったなんて……。あの女も、命拾いしましたね」
「貴様……!」

 ――警視総監と警視。
 誉れ高い階級であるからこそ、こうして取調室で面会を許されているが……。
 本来であれば自分は、この捜査には関われない立場の人間だ。
 唇を噛み締めてぶん殴ってやりたい気持ちをぐっと堪えると、無言でこちらを制した豊臣警視総監にこの場を譲る。
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