片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む

事件の終わり（愛奈）

　――業務終了後。
　ロッカールー厶で急いで着替え、電車に飛び乗ってスマホを取り出せば、インターネットが先程の事件の話でお祭り騒ぎになっていると気づく。

『イルミナティ・ガーデンにて刃物を所持した男を緊急逮捕』
『現在は通常営業中だが、臨時休園にするべきだと批難の声が上がっている』

　大型検索エンジンのニュースサイト、SNSに至るまで。
　どこもかしこも、イルデンの刃物騒ぎで持ち切りだった。
　どうやら犯人が確保されたあとも通常営業を続けたのが物議を醸しているらしく、至る所でこうした場合どうするのが最善なのかと議論が繰り広げられていた。

　――こりゃ暫く、イルデンの安全管理はどうなってるんだとお茶の間を騒がせそうだ。

　私はため息をつきたい気持ちでいっぱいになりながら、最寄り駅のホームに降り立つ。

『すまない。帰宅時間は未定だ』

　――あんな事件に巻き込まれたあとだもん。
　本来の仕事が溜まって、身動きが取れなくなってしまったのだろう。

　圭信からの連絡を確認した私はなんの問題もなく自宅へ帰宅すると、靴を脱いで一目散に冷蔵庫の中身を確認する。
　そこにはぎっしりと、食材が詰まっていた。