【完結】バツイチですが、恋人のフリをお願いした年下イケメンくんからアプローチされて困ってます!
○プロローグ
浮気発覚と離婚届
「ねえ文晶、離婚してほしいんだけど」
「はっ?」
「聞こえなかった? 離婚してほしい、って言ったの」
私が今目の前で「離婚してほしい」と言っているこの人は、私の旦那だ。
文晶と結婚して二年が経ったけれど、文晶が浮気をしていることがわかった。
浮気しているとわかった以上、これ以上文晶と夫婦を続ける訳にはいかないと思った。
「離婚って……本気で言ってるのか?」
「私は本気よ。……何を言われても、あなたと離婚するから」
文晶のことは好きだったし、今でも好きだ。 だけど裏切られたこの代償は、ずっと消えない。
ずっと裏切られてきた私にとって、裏切られた事実だけはずっと拭えないんだ。
「文晶、私はもうあなたと生きていくことに疲れたの。……あなたが浮気をしていることを知ってて目を瞑ってきたけど、でももうそれも限界」
「菫花、たかが浮気で俺と別れたいってことか?」
「たかが、浮気……?」
浮気のどこが゙たかが゙なの? 浮気をたかがと思っている文晶には、もう何を言っても意味がないと感じた。
「男なんてみんな浮気するだろ? そもそも、浮気しない男なんていないって、考えればわかるだろ?」
「……最低」
文晶は私を裏切っていることに、何も罪悪感なんてないんだ。 罪悪感なんて、何も感じてない。
「文晶はもう私のことなんて、愛してないんでしょ?……だったら、私と離婚しても何も問題ないでしょ」
「菫花、落ち着けよ。 な?」
「私は落ち着いてるわよ。 落ち着いて考えたから、離婚したいと思ったの」
もう文晶と一緒にいる意味なんてない。 一緒にいても傷付くとわかってるのに、そんなこと出来ない。
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