【完結】バツイチですが、恋人のフリをお願いした年下イケメンくんからアプローチされて困ってます!
○十四話
新しい幸せと新しい未来
眞紀人くんのお父さんが亡くなってから数日後、眞紀人くんのお父さんの葬儀が行われた。
眞紀人くんも辛い中、喪主を最後まで勤め上げた。
「眞紀人くん、お疲れ様」
「菫花さん、来てくれてありがとう」
「ううん、当然のことだよ」
いつもは金髪の眞紀人くんだけど、葬儀ということもあり黒髪にしてきていた。 黒髪の眞紀人くんは、いつもよりなんだか幼く見える気がした。
金髪に見慣れすぎたということもあるけど、こういう眞紀人くんも素敵だったと、お父さんもきっとそう思っていると思う。
「眞紀人くん、大丈夫……?」
「大丈夫だよ。 俺、強いから」
強がっていることはわかるけど、それ以上は何も言わないことにした。
「今日は、お疲れ様」
「ん、ありがとう」
眞紀人くんは、大切な人を失う悲しさを知っている。だからこそ、家族を亡くした悲しみの大きさをよく知っている。
私はそんな眞紀人くんのことを、しっかり支えていきたいと思ってる。 眞紀人くんが辛い時、こうしてそばで涙を拭える人になりたい。
「菫花さんがいてくれて、良かった」
「……そっか」
きっと一人になったら、より辛いはずだ。
「俺……父さんに見せたかったな」
眞紀人くんが呟くから、思わず「……なにを?」を問いかけてしまう。
「なんだと思う?」
聞き返されてしまい、思わず「えっ?……そんなの、わからないよ」と言葉を返してしまった。
「菫花さんの花嫁姿」
「えっ……?」
花嫁、姿……? 私の?
「あ、いや。 父さんがさ、菫花さんの花嫁姿をいつか見たいって言ってたことがあってさ」
「……そうなんだね」
そんなこと、言ってくれてたんだ。……嬉しいな。