【完結】バツイチですが、恋人のフリをお願いした年下イケメンくんからアプローチされて困ってます!
○十四話

新しい幸せと新しい未来


 
 眞紀人くんのお父さんが亡くなってから数日後、眞紀人くんのお父さんの葬儀が行われた。
 眞紀人くんも辛い中、喪主を最後まで勤め上げた。

「眞紀人くん、お疲れ様」

「菫花さん、来てくれてありがとう」

「ううん、当然のことだよ」

 いつもは金髪の眞紀人くんだけど、葬儀ということもあり黒髪にしてきていた。 黒髪の眞紀人くんは、いつもよりなんだか幼く見える気がした。
 金髪に見慣れすぎたということもあるけど、こういう眞紀人くんも素敵だったと、お父さんもきっとそう思っていると思う。

「眞紀人くん、大丈夫……?」

「大丈夫だよ。 俺、強いから」

 強がっていることはわかるけど、それ以上は何も言わないことにした。

「今日は、お疲れ様」

「ん、ありがとう」

 眞紀人くんは、大切な人を失う悲しさを知っている。だからこそ、家族を亡くした悲しみの大きさをよく知っている。
 私はそんな眞紀人くんのことを、しっかり支えていきたいと思ってる。 眞紀人くんが辛い時、こうしてそばで涙を拭える人になりたい。

「菫花さんがいてくれて、良かった」

「……そっか」

 きっと一人になったら、より辛いはずだ。

「俺……父さんに見せたかったな」

 眞紀人くんが呟くから、思わず「……なにを?」を問いかけてしまう。

「なんだと思う?」  
  
 聞き返されてしまい、思わず「えっ?……そんなの、わからないよ」と言葉を返してしまった。

「菫花さんの花嫁姿」

「えっ……?」

 花嫁、姿……? 私の?

「あ、いや。 父さんがさ、菫花さんの花嫁姿をいつか見たいって言ってたことがあってさ」

「……そうなんだね」

 そんなこと、言ってくれてたんだ。……嬉しいな。
< 102 / 112 >

この作品をシェア

pagetop