【完結】バツイチですが、恋人のフリをお願いした年下イケメンくんからアプローチされて困ってます!
○五話

ババ抜きと罰ゲームのキス

✱ ✱ ✱



「菫花さん、乾杯」

「乾杯」

 眞紀人くんの家に寄る前にコンビニに寄った私たちは、コンビニでお酒や食べ物などを購入していた。

「んんー、美味しいっ」

「おお、いい飲みっぷりだね、菫花さん」

「イヤなことがあった日は、飲むに限るよね。 飲んで忘れたいしね……」

 やだ、またさっきのこと思い出しちゃった……最悪だ。

「菫花さん、大丈夫?」

「……私、もう恋愛なんてしなくていいって思ってた」

 突然の私の言葉に、眞紀人くんはビールの缶をテーブルに置く。

「私、恋愛して自分が傷付くくらいなら、恋愛したいと思えなくてさ」

 私もビールの缶をテーブルに置くと、「恋愛ってさ、なかなか上手くいかないね。……文晶との結婚生活をダメにしたのは、もちろん私だし。 あの時私が我慢すれば、良かったのかなって思うこともあるの」と話した。

「……我慢する必要なんて、ないと思うけど」

「えっ……?」

 眞紀人くんは私の隣に来ると、私に真剣な眼差しを向けてくる。

「我慢して辛くて逃げ出すくらいなら、我慢する必要なんてない。 我慢して自分が傷付くなら、我慢して夫婦でいる必要なんてないと、俺は思うけどね」

 眞紀人くんのその言葉に、私は俯く。

「菫花さんが傷付く姿なんて、俺は見たくないよ」

「……眞紀人、くん」  

 どうして眞紀人くんは、そんなに優しい言葉をかけてくれるのだろうか。
 どうして、そんなに私と向き合ってくれるのだろうか。

「もうアイツとは夫婦じゃないんだから、アイツに縛られる必要なんてないし、アイツとこれ以上関わる必要もないって」

 私は眞紀人くんの手を握り締めると、「ありがとう」と微笑む。
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