【完結】バツイチですが、恋人のフリをお願いした年下イケメンくんからアプローチされて困ってます!
○十話

仕返しする方法は沼にあり

✱ ✱ ✱


 眞紀人くんと付き合い始めてから数日。私は明日那に眞紀人くんと偽者ではない恋人になったことを話した。

「待って待って。展開早くない? どうした?」

「なんか、成り行きでそうなっちゃった……って言うか」

 なんて言えばいいのかわからないんだけど、成り行きと言えば成り行きのような気がしている。

「成り行き、ねえ……?」

 明日那はニヤニヤと私を見つめている。

「もしかして……した?」
 
 私は恥ずかしくなりながも「……うん、した」と返事をした。

「へえ?したんだー?」

「さ、さっきからニヤニヤしてなに?」

 そう聞くと明日那は「ううん。菫花、幸せなんだなーって思ってさ」と答える。

「ま、まあ……そりゃ、幸せだけどね」
 
「わかるよ、わかる。幸せオーラ溢れ出てるもん」

 明日那に言われて私は「えっ。そ、そうかな?」と聞いてみる。

「出てる出てる。 もう幸せーってオーラがプンプンしてるわよ」

「え? もう、なにそれ」

 私がお茶を飲んでいると、明日那は「いいじゃない。幸せなのはいいことなのよ」と言ってくれる。

「その眞紀人とやらが、本当の菫花の運命の人なんじゃない?」

「そうだと……いいけど」

 運命なんて、本当にあるのだろうかと考えてみる。 確かに文晶と出会って結婚した時も、私は文晶のことを運命の人だと信じて疑わなかった。
 文晶となら幸せになれる、文晶とならいい家庭を築ける。……そう信じて疑わなかった。
 今更ながらに、文晶の言うとおり私は本当に単細胞なのかもしれない。

「ねえ、明日那?」
  
「ん?」

「私、今度こそ幸せになりたい。……幸せになって、文晶のことを見返してやりたい」
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