【完結】バツイチですが、恋人のフリをお願いした年下イケメンくんからアプローチされて困ってます!
○十二話

孤独という名前



 眞紀人くんは「俺は何もしてないよ。 菫花さんが頑張ったからでしょ?」と言ってくれる。

「眞紀人くん……私もうなにも怖くないよ。 眞紀人くんがいれば、どんなことも怖くない気がする」

 だって私は、逃げずに戦うことが出来たんだから。

「菫花さんはもう、戦うことの強さを知ったんだ。 もう大丈夫だよ」
 
「文晶に言いたいことを全部ぶちまけたら、なんかスッキリした。……なんにも心残りもないし、後悔もしてない」

 眞紀人くんはそんな私の話を聞いてくれて「良かった。これでもう菫花さんが、アイツに囚われることはないんだね」と言ってくれたから、私は「うん、もう大丈夫。……私はもう、堂々と眞紀人くんのことだけ愛せるようになったよ」と話してしまった。

「それは非常に、嬉しいことだね」

「あ……あのさ、私眞紀人くんにちょっと……一個謝らないといけないことが、あるんだよね」

「謝らないといけないこと?……え、なに?」

 さっき文晶との電話の時に、つい言ってしまったことを謝りたい。

「お、怒らないで聞いてほしいんだけど……」

「怒る? え、なに、なに。怖いよ」

「あ、あのさ……さっき勢いで、眞紀人くんと結婚するって、言っちゃったん……だよね」

 はあああ……眞紀人くん、本当にごめんね。

「……えっ?」

「ほ、本当にごめんね。 あんなこと言うつもりじゃなかったんだけど……。つい勢いで、言っちゃって……」

 眞紀人くんに絶対に叱られる気がする。 何変なこと言ってんの!って……。

「……結婚するって言ったの?俺と」

「う、うん。 ごめん、言葉の綾というか……本当にごめん」

 眞紀人くんを困惑させたことは、間違いない。 申し訳ない、本当に……。
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