「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています

第一章 婚約破棄と嘲笑

私は、セレナ・ルヴァリエ。

名門ルヴァリエ公爵家の令嬢として、生まれた時から礼儀作法や歴史、政務に至るまで、厳しい教育を受けてきた。

華やかな世界に見えるかもしれないけれど、息をつく暇なんてない。公爵令嬢として、常に“完璧”を求められるから。

そんな私には、婚約者がいる。

ユリウス・フェルグレン。

同じく公爵家に連なる家柄で、現子爵。

実は同じスクールの同級生だった。

昔から気さくに話せる相手で、何かと気にかけてくれた人。

婚約が決まったのは、ある日突然だった。

ユリウス様のお父様が、「仲睦まじくしている」と私たちを見て、父に縁談を申し込んできたのだ。

正式な申し出に、父は了承し、私とユリウス様は婚約者同士となった。

信じられないくらい、嬉しかった。

だって、あの優しいユリウス様と、本当に結ばれるなんて──夢のようだったのだから。
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