「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています

第八章 やっと気づいた気持ち

そして、ついにその時が来た。

穢土は東方に留まらず、徐々に王都の手前まで迫りつつあった。

「このままでは王都までやられてしまうだろう。」
重く響いた王の声に、廷臣たちはざわめいた。

「聖女ティアナ・エルフェリア。お前に王命を授ける。第2皇子カイル・ヴェルナーグを引き連れ、直ちに浄化の旅に出よ。」

「はっ、謹んでお受けいたします。」

凛とした声でティアナは跪き、頭を垂れた。

こうして、ついにカイルは、正式に王命を受けて出立することとなった。

出発の日。
朝霧がまだ晴れぬ王都の門前には、兵と聖女の一行が整列していた。

そして、その中心には――聖剣を腰に携えたカイルが立っていた。

私は、彼のもとへ歩み寄った。

心が波打っていた。けれど、泣いてはいけない。今は、彼を誇るべき瞬間だから。

「……ご無事のご帰還を、心より願っております。」
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